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歯科治療の歴史について

2018.02.14

歯科
今回は「歯痛の文化史」(ジェイムズ・ウィンブラント著)より、
現代の歯科医療が確立されるまでの歴史について興味深い内容が書かれているのでそのお話をします。
古代ローマ時代、虫歯の原因は宗教や呪術と密接な関係があると考えられていて「歯の悪魔」「歯の蟲(むし)」「体液」の過剰とされていたようです。
また虫歯とは一生付き合っていく問題だったようで治療は「リンゴを噛む」「焼いた鉄で患部を焼灼する」「蛭による患部の吸血」「歯の揺れを抑えるため顎にカエルを巻き付ける」「落雷で焼けた樹木の木片を噛み締める」予防には「ネズミを食べる」だったようです。
中世には主に理髪や瀉血(しゃけつ)を行う床屋外科という職業の人達や、旅をしながら歯痛に苦しむ人々の歯を抜く「歯抜き屋」という職業の人達が歯科治療を行っていたが、技術的問題や術後感染による壊疽(えそ)により歯科治療はいつも死因の上位だったようです。
またイタリア・ルネサンス時代には彫刻家や金細工師が歯を削った穴に金などの「詰め物」をする技術を習得していたため、歯学が発展した時期でもあるようです。
近世になると歯科治療が医療として確立される幕開けとなり、組合が結成されたり、大学では歯科医師の育成が始まり、独立した職業となったようです。
1700年にはフランスで外科専門学校が歯科外科学部を併設、1840年にはアメリカで世界初の歯科大学、ボルティモア歯科医学校が設立されました。
18世紀に入ると本当の意味での歯科医学が誕生し、正式な歯学教育の新しい時代の幕開けとなり、近代歯科医療の技術や教育の発展をもたらしました。
また、南北戦争(1861年~1865年)によって、頭部や顔面の外傷を受ける人々が増えたことで、口腔外科医の需要が増え、皮肉にも、この戦争がきっかけで技術的に目覚ましい進歩を遂げ、戦後は各地の病院で歯科が増設されたようです。
これにより数十年のうちにアメリカは歯科医療の超大国へと変貌を遂げ、歯科医療の世界のリーダーとなったようです。