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歯髄細胞による再生医療について

2018.04.24

歯科

本日は、歯髄細胞による再生医療の可能性について、母校である日本歯科大学 生命歯学部 発生・再生医科学講座 中原貴 教授のお話をします。

本学では歯髄細胞を凍結保存できる「歯髄バンク」が設立されており、当バンクと患者様の仲介役として、ご協力できるよう、私も「歯の保存バンク」認定医として登録させて頂いております。


最先端医療の中でも社会から期待されている「再生医療」の分野では、幹細胞、バイオマテリアル、成長因子、遺伝子治療など、様々な方面からのアプローチがなされているそうです。



京都大学 山中教授がノーベル生理学・医学賞を受賞されてから、ヒトiPS細胞に代表される多能性幹細胞(万能細胞)による再生医療が脚光を浴びていますが、細胞を用いる再生医療には、この多能性幹細胞のように人工的に作った細胞の他に、ヒトの骨髄や脂肪に存在する組織幹細胞を用いる方法があるそうです。



歯科分野では、親知らずや乳歯の歯髄から見つかった幹細胞、いわゆる歯髄細胞が骨髄や脂肪の幹細胞同様、万能細胞として骨芽細胞、脂肪細胞、軟骨細胞など多種多様な細胞への分化能をもっていることが分かっており、培養すると、骨髄細胞より増殖能力が高く、採取した年齢・性別に影響されないのが特徴だそうです。


一方、歯髄細胞は増殖能力が高く、短期間で大量に増えることから、細胞のがん化が懸念されますが、 体内にある細胞なので、寿命があり無限には増えないためがん化の心配はない安全な細胞のようです。

また、これまで医療廃棄物として処理されてきた抜去歯を利用しますので、倫理的・医学的にも何の問題もないようです。


歯髄細胞は歯周病で失った歯槽骨や重度の虫歯で除去した歯髄神経の再生など、歯科疾患に対する臨床研究が行われている他、動物実験の段階ですが、世界中で全身疾患に対する研究も進められていて、多岐にわたる疾患への効果が期待されているようです。(別表に記載)


このように再生医療に大変適した歯髄細胞ではありますが、供給源となる乳歯、親知らずを患者様が保有していなくては、その恩恵は受けることができないということになります。


本学では15年以上前から「歯髄細胞バンク」事業を立ち上げ、自身の歯髄細胞の保管を希望する方から治療により抜去した歯を預かり、歯髄組織を採取、さらに歯髄細胞を培養、一定数まで増やした後、凍結保存し、将来の再生治療に備えるという取り組みを行っています。


また、当バンクに保管されている歯髄細胞の3分の1附属病院の患者様ですが、残りの3分の2は地域の歯科医院を経由してきた患者様ということで、当バンク事情の普及には、地域の歯科医院との協力関係が不可欠という経緯もあって、認定医制度を発足したということだそうです。


認定医の役目として、歯髄細胞の保管を希望する人に対して、歯髄細胞バンクの説明、必要な書類の記入方法や手続きの仕方のサポート、専用容器に抜去した歯の保存やバンクへの送付を行います。


今回は、本学 副学長でもある中原先生の興味深いお話でした。

今年の第77回日本矯正歯科学会学術大会は本学が主管を務めさせて頂く記念すべき大会でもありますが、会期中 教育講演でもご講演される予定ですので、改めて貴重なお話が聞けるかと今から楽しみにしています。











 













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