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死亡する24時間前に起こる人の身体的変化について
2019.03.19
未指定皆様こんにちは。
本日は、ちょっとドキッとするタイトルですが、玉置妙優氏の著書である「死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教のケア」からお話をします。
まずは玉置妙憂(たまおき・みょうゆう 写真1、2)氏について簡単にご紹介させて頂きます。
彼女はひどい喘息とアトピー持ちの長男のために看護師の資格を取得し、その後、外科病棟で勤務。
ある時、旦那様が大腸がんになり手術や抗がん剤により一旦は治ったが5年後に再発。
再発後は治療を拒み続けた旦那様を看取り、その後、高野山真言宗の僧侶として出家。
現在は僧侶兼看護師として病院勤務する傍ら「一般社団法人 介護デザインラボ」の代表理事として公演や講義活動を通して介護する側のケアを支援されています。
人間は、死が近づき24時間を切ると尿量が極端に少なくなり、しまいには出なくなるそうです。
導尿バックを付けている場合、溜まった尿量を見ていれば判断できますが、そうでない場合、例えば2時間おきにオムツをチェックして5、6回と濡れていない状態が続いたら、亡くなるまでの時間は長くないということが分かるそうです。
さらにその頃から、下顎呼吸と言われる下の顎を上下に動かす呼吸が始まるようです。
下顎呼吸が始まると残された時間は24時間という指標となるそうで、入院されている場合、「親族に集まって頂いた方がいい」というタイミングと言えるのだそうです。
自宅療養中の場合、今まで静かに息をしていた様子が一変し、下の顎を上下させて息をする姿が、一見、苦しくて喘いでいるかのように見えるため、救急車を呼んでしまうケースも少ないようですが、この下顎呼吸、人間が死亡する際の自然的過程と捉え、過度に苦しい訳ではないと思った方が良いそうです。
玉置氏が体験された事例をご紹介させて頂きます。
その患者さんは在宅療養をしており、その日は医師と玉置氏2人での訪問だったそうですが、点滴もなく体調をチェックするだけの診療内容だったそうです。
いつも通り居間に通されると、車椅子に座ったその患者さんは、ご家族と談笑していたそうですが、その日は明らかに下顎呼吸が認められたそうです。
下顎呼吸が始まると、こちらから呼べば目を開ける程度の反応は見られるそうですが、通常、明らかに意識低下が見られるそうです。
しかし、その患者さんは下顎呼吸をしているにもかかわらず、車いすに座り、談笑していた様子に内心同行した医師も驚いていたようです。
午後2時頃の訪問診療だったそうですが、その6時間後の夜8時頃、その患者さんはお亡くなりになったという連絡があったそうです。
下顎呼吸後の変化は、血圧が低下し、すべての筋肉が弛緩するため、尿道口や肛門が開き、出なかった尿や便が体外に排出され、体内はきれいになり、その後、心停止となるそうですが、入院している場合、昇圧剤の点滴をしているため、尿や便が排出されないまま心停止に至るそうです。
筋肉の弛緩により瞼が閉じられなくなった場合、目の角膜の乾燥により生理現象として涙が出ることもあるそうで、目が半開き状態で、涙を流している様子から「悲しくて泣いている?」「死を拒んでいる?」などと悲観的な解釈により、動揺されるご家族もいらっしゃるようです。
最後は呼吸停止となる訳ですが、息を吸って亡くなるケース、息を吐いて亡くなるケースに分かれるようですが、息を吸って亡くなるケースの方が多いようです。
人は生まれると呼吸筋で肺を押してと息を吐くことから始める訳で、「オギャー」と泣くのは、息を吐いている訳ですが、「息を引き取る」という言葉があるように亡くなる時は息を吸って人生の終焉を迎えるようです。
本日は人の死に際の身体的変化について玉置妙憂氏の実体験を含む貴重なお話をさせて頂き、大変、勉強になりました。