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口腔ケアのカギである唾液について
2020.05.03
未指定皆様、こんにちは。
新型コロナウイルス感染予防のため自宅待機を余儀なくされている中、GWはいかがお過ごしでしょうか。
誤嚥性肺炎や口腔乾燥症などの予防のため多くの医療機関が口腔ケアに取り組んだ結果、日本人の死因の第3位であった「肺炎」が5位に下がり、その口腔の維持管理に重要なのが「唾液」と考えられています。
本日は「口腔ケアのカギである唾液について」というテーマで「5歳児の1日当たりの唾液分泌量の推定」というユニークな研究で「2019年イグノーベル賞」化学賞を受賞された明海大学保健医療学部口腔保健科 主任教授 渡部茂先生のお話をします。
新型コロナウイルス感染予防のため自宅待機を余儀なくされている中、GWはいかがお過ごしでしょうか。
誤嚥性肺炎や口腔乾燥症などの予防のため多くの医療機関が口腔ケアに取り組んだ結果、日本人の死因の第3位であった「肺炎」が5位に下がり、その口腔の維持管理に重要なのが「唾液」と考えられています。
本日は「口腔ケアのカギである唾液について」というテーマで「5歳児の1日当たりの唾液分泌量の推定」というユニークな研究で「2019年イグノーベル賞」化学賞を受賞された明海大学保健医療学部口腔保健科 主任教授 渡部茂先生のお話をします。
唾液は99%の水分に1%が酵素や電解質などでできていて、1日に分泌される唾液の量は成人で約600ml、5歳児の子供で500mlだそうです。
唾液には自浄作用、抗菌作用、pH緩衝作用、再石灰化作用、消化作用、粘膜保護・潤滑作用、粘膜修復作用、溶解・凝縮作用など多くの生理的作用が分かっています。
唾液は、飲食物の刺激により主に顎下腺の他、耳下腺や舌下腺から、分泌され薄いフィルム状に口腔内をゆっくり移動しながら、一定量が溜まると嚥下により減少し、再度溜まるとまた嚥下を繰り返すようです。
唾液の量は、日中を最大とし夜間には減少を繰り返すというように概日リズムがあります。
なお睡眠中には分泌されないと考えられていましたが、近年、睡眠時にも小唾液腺から粘液が染み出ているため、夜間も口腔内のpHはそれほど低下せず、酸性の中和やう蝕の予防に関わっていることが判明したそうです。
唾液にはクリアランス作用があり、飲食後2分で唾液中の糖濃度は半減し、約30分で元の状態に戻ります。
しかし唾液の到達量は、上顎より下顎、頬側より舌側の方が多いというように部位により異なり、図1のように部位別で見ると下顎前歯部舌側が最も多く、上顎前歯部唇側が最も少ないことが分かっていますから、上顎前歯部で唾液のクリアランス作用が最も弱く、う蝕になりやすいと言えます。
また、唾液にはpHを一定に維持しようとする緩衝作用があり、口腔内はpH6~7の中性に維持されています。
清涼飲料水やスイーツなどの飲食物を摂取すると、口腔内は酸性になり、pH5以下になると「歯の脱灰」つまり、「リン酸カルシウムの溶出」が進行し、う蝕になりやすくなるため、口腔内の状態を中性に戻す唾液のpH緩衝作用は重要ですし、唾液の到達量にも影響します。
図2にように、pH3のオレンジジュースを飲んだ後、口唇や舌を動かさずに安静にした状況での口腔内のpH変化について調べたところ、口腔内のpHは当然3近くまで低下しますが、下顎前歯部舌側付近は顎下腺の開口部が近くにあるため2~3秒後にはpHが7近くまで戻るのに対して、、上顎前歯部唇側や臼歯部頬側では30分経過しても元のpHには戻っていないことが分かります。
このことから、上顎には唾液が自然に到達しないことを示しており、う蝕を予防するために歯磨きなどの口腔ケアが重要になることを意味しています。
実際、飲食中であれば当然、口唇や舌は動いているので唾液も連動するため、上顎の前歯部や臼歯部において酸による悪影響を即座に受ける訳ではありませんが、う蝕を予防するためには、やはり歯磨きなどの口腔ケアが重要になることを意味しています。
また、口腔内が酸性から中性さらにアルカリ性に変わると、唾液中の溶解度が下がるため、唾液中に溶出していた「リン酸カルシウム」が歯に戻るという唾液の作用が、いわゆる「歯の再石灰化」です。
以前、歯は再石灰化するまで脆弱な状態であるため、歯磨きは食後30分以上経ってから行った方がよいということをよく耳にしましたが、歯の脱灰はほとんど見られないため、食直後に行っても心配はいりません。
唾液は口腔機能である咀嚼と嚥下にも大きく関わっていて、嚥下を容易にする食塊形成するにあたり「嚥下閾」と呼ばれる食品それぞれに決まった適正水分量(食塊水分量)があるようです。
図3のとおり、例えば「米飯」では65%、「魚肉ソーセージ」であれば67%の水分量が飲み込むために必要な水分量とされています。
この量は、年齢に関係なく一定の値であるため、加齢や疾病により唾液分泌量が減少すると当然、食事の時間が延長され、中には2倍になったという報告もあるようです。
そのため、嚥下障害を持つ患者さんに対しては、食塊水分量に対する配慮も必要だということです。
唾液には自浄作用、抗菌作用、pH緩衝作用、再石灰化作用、消化作用、粘膜保護・潤滑作用、粘膜修復作用、溶解・凝縮作用など多くの生理的作用が分かっています。
唾液は、飲食物の刺激により主に顎下腺の他、耳下腺や舌下腺から、分泌され薄いフィルム状に口腔内をゆっくり移動しながら、一定量が溜まると嚥下により減少し、再度溜まるとまた嚥下を繰り返すようです。
唾液の量は、日中を最大とし夜間には減少を繰り返すというように概日リズムがあります。
なお睡眠中には分泌されないと考えられていましたが、近年、睡眠時にも小唾液腺から粘液が染み出ているため、夜間も口腔内のpHはそれほど低下せず、酸性の中和やう蝕の予防に関わっていることが判明したそうです。
唾液にはクリアランス作用があり、飲食後2分で唾液中の糖濃度は半減し、約30分で元の状態に戻ります。
しかし唾液の到達量は、上顎より下顎、頬側より舌側の方が多いというように部位により異なり、図1のように部位別で見ると下顎前歯部舌側が最も多く、上顎前歯部唇側が最も少ないことが分かっていますから、上顎前歯部で唾液のクリアランス作用が最も弱く、う蝕になりやすいと言えます。
また、唾液にはpHを一定に維持しようとする緩衝作用があり、口腔内はpH6~7の中性に維持されています。
清涼飲料水やスイーツなどの飲食物を摂取すると、口腔内は酸性になり、pH5以下になると「歯の脱灰」つまり、「リン酸カルシウムの溶出」が進行し、う蝕になりやすくなるため、口腔内の状態を中性に戻す唾液のpH緩衝作用は重要ですし、唾液の到達量にも影響します。
図2にように、pH3のオレンジジュースを飲んだ後、口唇や舌を動かさずに安静にした状況での口腔内のpH変化について調べたところ、口腔内のpHは当然3近くまで低下しますが、下顎前歯部舌側付近は顎下腺の開口部が近くにあるため2~3秒後にはpHが7近くまで戻るのに対して、、上顎前歯部唇側や臼歯部頬側では30分経過しても元のpHには戻っていないことが分かります。
このことから、上顎には唾液が自然に到達しないことを示しており、う蝕を予防するために歯磨きなどの口腔ケアが重要になることを意味しています。
実際、飲食中であれば当然、口唇や舌は動いているので唾液も連動するため、上顎の前歯部や臼歯部において酸による悪影響を即座に受ける訳ではありませんが、う蝕を予防するためには、やはり歯磨きなどの口腔ケアが重要になることを意味しています。
また、口腔内が酸性から中性さらにアルカリ性に変わると、唾液中の溶解度が下がるため、唾液中に溶出していた「リン酸カルシウム」が歯に戻るという唾液の作用が、いわゆる「歯の再石灰化」です。
以前、歯は再石灰化するまで脆弱な状態であるため、歯磨きは食後30分以上経ってから行った方がよいということをよく耳にしましたが、歯の脱灰はほとんど見られないため、食直後に行っても心配はいりません。
唾液は口腔機能である咀嚼と嚥下にも大きく関わっていて、嚥下を容易にする食塊形成するにあたり「嚥下閾」と呼ばれる食品それぞれに決まった適正水分量(食塊水分量)があるようです。
図3のとおり、例えば「米飯」では65%、「魚肉ソーセージ」であれば67%の水分量が飲み込むために必要な水分量とされています。
この量は、年齢に関係なく一定の値であるため、加齢や疾病により唾液分泌量が減少すると当然、食事の時間が延長され、中には2倍になったという報告もあるようです。
そのため、嚥下障害を持つ患者さんに対しては、食塊水分量に対する配慮も必要だということです。
渡部先生によると、口腔ケアを行う上で、その内容や方法については「唾液の作用」を十分に理解することが重要であるということだそうです。
本日は、渡辺先生による大変、興味深いお話をさせて頂きました。
学生時代に勉強した「唾液」について改めて再確認できたと同時に新たな発見もあり、大変、勉強になりました。