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医療4.0(第4次産業革命時代の医療)について~後編
2022.05.24
未指定皆様こんにちは。
本日は「医療4.0(第4次産業革命時代の医療)について~後編」というテーマで、前編に引き続いてデジタルハリウッド大学大学院客員教授 加藤浩晃先生のお話をします。
コミュニケーションの形を変えるとされたVRという技術があります。「VR元年」とされる2016年は、VR体験施設が急速に拡大し、これをきっかけに今後、高付加価値を持ったがVRデバイスが商品価値を下げ一般化してゆく、つまりコモディチィー化すると予想されています
失明原因の第一位であります緑内障に対して、デジタルハリウッド大学院のヘルスラボがVRを活用した早期発見ツールを開発しましたが、この簡易的なスクリーニングツールが一般的になれば、失明の減少に繋がる可能性が期待できます。
2020年にサービスが提供された第5世代移動通信システム(5G)は4Gと比較視して通信速度が100倍となったことで、人はタイムラグを感じることはなくなり、図3のとおりVRとの組み合わせにより、医師はあたかも患者さんと対面しているかの状況で診療できるようになりました。
特に外科手術のトレーニングなど医療教育に関するシュミレーションはVR技術との相性がよく、5Gの環境下であれば、後進の指導も「1対1」ではなく「1対多数」で遠隔による後進指導が可能となりました。
また、2018年には遠隔診療として「オンライン診療」が保険導入されましたが、対面治療を好むわが国では、いまだ遠隔診療はハードルが高く、現時点では通院継続が目的で、再診のみの適用となっています。
医師に処方してもらう「医療用医薬品」ではなく、薬局やドラッグストアにて自分で選んで買える「要指導医薬品」と「一般用医薬品」にあたるOTC医薬品を活用し、セルフメディケーションで解決できる風邪や花粉症、胃腸炎などの対症療法的な疾患は、この遠隔医療で普及すると予想されます。
その際、医師が患者さんのOTC医薬品を選ぶのではなく、患者さんの主体性を促すよう医師がアドバイスするという形になるようです。
そして国の財源を有効活用するために保険診療で賄うべき疾患につきましては公開データに基づいて議論されるようになるでしょう。
2016年10月より、厚生労働省は国民の医療動向や健康などの実態把握にも有効とされている「NDBオープンデータ」というレセプトデータを分かりやすい形で表記、集計した結果について情報公開しています。
湿布薬の処方枚数が1回につき制限されたように、将来、疾患は保険適応外の疾患が増え、保険適応疾患が大幅に限定されるかもしれません。
医療の提供が医療機関だけではなく「オンライン診療」「スマートフォンによる治療アプリ」のなどの普及により、よる医療の接点が増えるため、受療の手段は多角化すると考えられ、医療従事者においての変革が生じます。
公衆衛生の向上と増進、また国民の健康な生活を確保するために、医師は医療及び保健指導を行う責務があるという医師法第一条にはありますが、医師の使命は臨床だけではなく、その他の部分についても持っている能力を発揮するべきあると考えています。
本日は前回に引き続き「医療4.0(第4次産業革命時代の医療)について~後編」というテーマで加藤先生のお話をさせて頂きました。
医療機関にて対面による医療を受けるのが当たり前という時代から、「オンライン診療」「スマートフォンによる治療アプリ」などの新しい医療システムによるセルフメディケーションというスタイルが、将来、広く患者さんに受け入れられ、普及してゆくことを楽しみにしていきたいと思います。