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成長発育の定義と上下顎骨の成長発育を含む出生後の成長発育ついて
2023.07.27
未指定皆様こんにちは。
本日は「成長発育の定義と上下顎骨の成長発育を含む出生後の成長発育ついて」というテーマで、成長期の矯正治療にも関わる上下の顎の成長について成長発育の定義を含めて出生後の成長発育についてのお話をします。
1.成長発育の定義について
成長(Growth)とは、身長や体重などの増加による身体が大きくなるなど、全身や各器官の細胞が増殖したり、細胞間基質が増大することで、大きさや数が増える変化のことですが、発育(Development)とは、身体の各器官の機能や人の行動や精神が成熟していく変化のことです。
2.Scammonの臓器発育曲線について
Scammon RE.(米国)という医学者であり人類学者による「臓器発育曲線」は歯科矯正学でもお馴染みですが、1930年に出版した『The Measurement of Man』の中で『The Measurement of the Childhood』(p.193)というタイトルで掲載しています。
出生後の成長発育について、身体の各臓器を①一般型、②神経型、③生殖器型、④リンパ型の4パターンに分けた「臓器発育曲線」を図1に示しました。
①一般型
幼児期の緩やかな成長と思春期の急激な成長によりS字状曲線を示し、身体の主体をなす骨、筋肉、内臓などが、頭部では下顎骨がこの型の成長パターンに属する。
②神経型
出征後から急速な成長を示し、6、7歳までにはほとんどの成長が完了する。脳、脳頭蓋、脊髄、視覚器などの中枢・末梢神経系が、頭部では上顎がこの型の成長パターンに属する。
③生殖器型
10歳頃まではほとんど変化せず、思春期に急速な立ち上がりを示すが、成長の立ち上がりとしては最も遅いパターンを示す。
精巣、卵巣などの生殖器、乳房、恥毛、喉仏などがこの型の成長パターンに属する。
④リンパ型
幼児期後半頃より成長の立ち上がりを示し、思春期直前に成人値である20歳の2倍に達するが、その後は
徐々に小さくなるパターンを示す。
胸腺、リンパ腺、口蓋扁桃、咽頭扁桃などのリンパ様組織がこの型の成長パターンに属するが、その他のリ
ンパ系に属する甲状腺、脳下垂体、副腎、松果体などは胸腺とは異なる成長発育を示すため、同じ様なカーブを描かない。
3.上下顎骨の成長について
図2のとおり、上下顎骨とも神経系と一般型の中間型を示していますが、下顎骨の成長発育は前頭蓋窩に
隣接している上顎骨の成長発育より一般型に近い中間型を示す。
つまり新生児の顔面頭蓋は脳頭蓋より小さく、成長するにつれて脳頭蓋に対して顔面頭蓋の占める割合が大きくなります。
下顎骨体長や下顎枝高などの成長は、身長の伸びと同様のS字曲線を示しながら増大してゆくため、思春期以前は比較的穏やかな成長ですが、思春期である12~14歳頃をピークとして、通常18歳頃に完了します。
上下顎骨とも最初は横方向、次に前後方向、最後に縦方向という順序で成長します。
横方向に関わる歯列弓幅径を含む上下顎骨の幅径の成長は、思春期成長のスパートが始まる前に完了して、前後的な成長は、女子で14歳~15歳頃に完了、男子では18歳頃まで続き、縦方向に関わる顔面と顎骨の高径の成長は前後的な成長より長く続くとされています。
本日は、普段からよく使う「成長」と「発育」という言葉の定義について、また成長期に関わる上顎前突や反対咬合を含む下顎前突などの歯並びの方の矯正治療の開始のタイミングにも大きく関わる上下顎骨の成長を含む出生後の成長発育ついてお話しました。