ブログ

Blog

フレイル予防への取り組みについて(後編)

2019.06.14

未指定

皆様こんにちは。

本日の引き続き、東京大学 高齢者会総合研究機構 飯島勝也 教授のお話(後編)をさせて頂きます。 


栄養の観点から、身体的フレイルにおいては「オーラルフレイル」が重要とされていて、些細な口腔機能の衰えを放置しておくと、しっかりとした食物摂取できなくなり、最終的には心身の機能低下という負の連鎖に繋がると考えられています。

大規模調査の結果、図4では抽出したオーラルフレイルの6項目のリスクのうち、3項目以上に該当する方を「オーラルフレイル」群とした場合、「すべて正常」群に比較すると4年後のフレイル発症率が2倍以上という結果を示しています。

「フレイル」の前段階、つまり「プレ・フレイル」で見られる「オーラルフレイル」は、生活に支障がない些細な口腔機能の低下であるが、積み重なると大きなリスクになることを意味しています(図5)。

歯科医師として、高齢の患者様に大勢でワイワイしながら食事しているかどうかを聞き、歯の治療に加えて、口腔機能のトータルアセスメント(総合的な評価)と指示が必要だとしています。

また、中年層では、小太り・肥満が死亡リスクを高めるとされているため、摂取カロリーを抑え、メタボ予防することが前提とされていますが、高齢者の場合、中肉中背と小太り・肥満とでは差がなく、死亡リスクは痩せている人の方が高いとされ、BMIの逆説的な結論を示しています。

全国調査によると70歳以上の高齢者のうち6割以上がダイエットにより2~3kg体重を落としたいというデータがあるそうで、中年層のうちは、内臓脂肪が落ちるため、すっきりとしたお腹周りになりますが、高齢者の場合、筋肉が落ちて太ももやふくらはぎも細くなりますので、メタボ予防を継続するのではなく、「フレイル」予防へと考え方のシフトが重要なのだそうです(図6)。

70歳前後は生活習慣や基礎疾患にバラつきがあるため、難しいとされています。

例えば、糖尿病のようにエネルギー制限による体重減少で自立度が著しく低下しないよう、繊細な体調管理が求められるような場合、かかりつけ医の判断も必要になるためだそうです。

 

人生100年時代と言われる昨今、全国を回り一人ひとりに見合った「フレイル」予防のための普及活動を行うことが急務だと強調されておられる飯島先生の大変、興味深いお話でした。

 

 














フレイル予防への取り組みについて(後編)
フレイル予防への取り組みについて(後編)
フレイル予防への取り組みについて(後編)