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呼吸改善用の口閉じテープが睡眠およびいびきの発生するに及ぼす効果について
2023.05.26
未指定皆様こんにちは。
皆様は良い睡眠がとれておりますでしょうか?
厚生労働省が行った国民健康・栄養調査によると平均睡眠時間が6時間以内の成人のうち、何らかの睡眠障害を抱えている人の割合は実に7割を占め、特に口呼吸に起因する睡眠障害が非常に多いと言われているそうです。
睡眠時の口呼吸は口腔内から水分が蒸発しやすく、起床時の口や喉の乾燥を招く上、口呼吸により舌根部が沈下することで気道が閉塞し「いびき」や「睡眠時無呼吸症候群」の要因の一つと考えられています。
過去の研究から、正常な鼻呼吸の促進が睡眠の質の向上に繋がるということは報告されていますが、小林製薬株式会社が行った研究によりますと、睡眠時に口閉じテープを装着することで起床時の口腔内乾燥の抑制効果がある上、就寝時の鼻呼吸を誘導し睡眠の質が改善され、いびきの発生を抑制する可能性があることが分かりました。同社では今後も睡眠に関する研究を継続し、その成果を社会に還元するとしています。
本日は2021年9月23~24日に行われました「日本睡眠学会第46回定期学術集会」にて「口閉じテープが睡眠およびいびきの発生に及ぼす効果」というタイトルで小林製薬株式会社(本社 大阪市、小林彰浩 社長)から平野明、安川貴文、清家奈央、北島幸太郎、清江竜一研究員の方々と太田睡眠科学センター所長 千葉伸太郎 先生の共同研究による報告についてお話します。
研究成果について
1. 口閉じてテープにより睡眠時の口腔内乾燥を抑制できることが判明。
2. いびきの発生が抑制された被検者では、睡眠の質が改善する傾向を示すことが判明。
ア.研究の詳細
試験対象:口閉じテープ使用、コントロール(口閉じテープ非使用)
被検者 :30~40代健常者(男性7名)
試験環境:睡眠試験施設(太田睡眠科学センター)
イ.口内の乾燥抑制評価
口腔内の乾燥抑制効果をワッテ法とVisual Analog Scale(VAS)法という2つの方法による評価を行いました。
ワッテ法:舌下にロールワッテを入れ、その重量変化から唾液量を算出する試験方法で、口閉じテープ使用時とコントロールで、就寝前後の唾液量を測定しました。
VAS法」:長さ100mmの黒い線を被検者にみせて現在の状態の程度を表す視覚的評価スケールのことで、本研究では起床時の主観的な口腔内の乾燥感について検証しました。
その結果、図1.2の通り、口閉じテープ使用時に唾液量の減少抑制、および主観的な口腔内の乾燥感を抑制すること示されました。
ウ.深睡眠割合評価
終夜PSG試験という方法で評価を行いました。
終夜PSG試験
多くのセンサーを用いて就寝時の脳波や筋電図、呼吸状態などを一晩中測定する試験です。睡眠深度(眠りの深さ)などから、睡眠の質を評価することができ、深睡眠割合(前睡眠時間における深い睡眠時間の割合)が多い程睡眠の質が良いという評価になります。
本研究では口閉じテープ使用時とコントロール時で唇睡眠割合を比較評価し、図3の通り口閉じテープ使用時はコントロール時と比較して深睡眠割合が多い傾向を示す結果となりました。
本日は、口閉じテープと睡眠やいびきとの関わりについて大変興味深いお話をさせて頂きました。
私も良い睡眠がとれていない方ですので、就寝時には口閉じテープの装着をしようと思います。同社の今後の研究が実を結び、この口閉じテープにより睡眠の質の向上するカギとなることを期待したいと思います。