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矯正治療に関わる抜歯について

2023.10.26

歯科
皆様こんにちは。
本日は、「矯正治療に関わる抜歯について」というテーマでお話しします。
矯正治療での抜歯は、被蓋関係(上下の前歯の前後、左右さらに上下的な位置関係)や咬合関係(上下の咬み合わせの前後、左右さらに上下的な位置関係)を改善したり、歯と顎骨の不調和(ディスクレパンシー)を解消して、個性正常咬合(矯正歯科治療の最終目標で個人個人に異なった個性的な正常咬合)を確立し、治療後の歯列咬合の安定を図るために行います。抜歯する必要がある抜歯する歯は健全歯であることが多いため、抜歯部位は慎重に検討する必要があります。
抜歯が必要になる具体例は以下の通りです。
1.歯と顎骨の大きさに著しい不調和がある時
リクワイヤードアーチレングス(第二小臼歯から反対側の第二小臼歯の歯幅の総計)とアベイラブルアーチレングス(歯列弓の長さ)との不均衡のあるディスクレバンシー症例
①顎骨に比べ歯の大きさが大きく、顎骨や歯列弓の拡大に限界がある場合
②矮小歯や巨大歯、トゥースサイズレイシオ(上顎犬歯から反対側犬歯の歯幅の総計と下顎犬歯から反対側犬歯の歯幅との総計の比率、上顎第一大臼歯から反対側第一大臼歯の歯幅の総計と下顎第一大臼歯から反対側第一大臼歯の歯幅の総計との比率)異常など上下顎の歯の大きさに不調和がある場合
③先天性欠如歯、歯の喪失など上下顎の歯数に不均衡がある場合
2.顎骨の前後的位置関係の不正がある時
①上下顎前突症例
②上顎前突で顎骨の成長誘導(上顎の成長抑制と下顎の成長促進)による被蓋改善が期待できない時や、上顎歯列弓の遠心移動が量的に不可能な時
③骨格性反対咬合(下顎前突)で顎骨の成長誘導(上顎の成長促進と下顎の成長抑制)による被蓋改善が期待できない時や、下顎歯列弓の遠心移動時が量的に不可能な場合
3.顎骨の垂直的位置関係に不正がある時
①咬み合わせ合が深いため、浅くする(咬合挙上)のため、大臼歯の遠心移動を行うための空隙が必要な場合
②咬み合わせが浅いため、深くするために大臼歯の近心移動を行うための空隙が必要な場合
4.後方臼歯の近心転移があり、これを遠心に移動することができないアベイラブルアーチレングスが不足している場合、対象となる歯
①歯の移動に必要な空隙が確保でき、その空隙を有効に活用できる歯
②歯の移動に要する期間(動的治療期間)を短縮できる歯
③治療目標の達成が容易にできる歯
④形態に異常のある歯、重度の齲蝕や歯周疾患にり患している歯
専門的な用語を多様しているので申し訳ありませんが、上記の通り、矯正治療を行う上で抜歯する必要がある場合があります。
抜歯する歯は、健全歯より治療している歯、歯根が長い歯より短い歯などを選択したり、上顎あるいは下顎、上下顎の小臼歯の他、小臼歯と大臼歯の組み合わせで抜歯することが多いと思われます。